ワキガの原因ってなに?食べ物・飲み物や不潔にしてるとなるって本当?

わきがは、なんとなく一部の男性が変えている問題のように思っている人もいるかもしれません。しかし、遺伝による体質の影響が大きく、男女差はありません。本人たちも気がついていないだけで、女性たちもワキガによる臭い(におい)を周囲に振りまいている可能性もあります。

ワキガとは

ワキガは医学上は腋臭症(えきしゅうしょう)といいます。といっても、病気というわけではなく、体質の一種と考えたほうがいいでしょう。

ワキガと体臭の違い

人にはエクリン腺とアポクリン線という2種類の汗腺があります。

エクリン腺はほぼ全身にあります。運動をしたり、気温が高いときに出たりする汗はこのエクリン腺が分泌しています。この汗は通常は粘り気や色はなく、そのまま放置でもしない限り、特に強い臭いはありません。ストレスなど精神的緊張から出る汗、いわゆる冷や汗もこのエクリン腺から出ます。この場合はやや粘り気が強く臭いもあるものの、ワキガほどではありません。

また、異常に汗が多い多汗症の場合も、このエクリン線からの汗についての話です。

ワキガを引き起こしているのはもう一方のアポクリン腺です。アポクリン腺から出る汗は、「フェロモンの正体である」と考える専門家もいますが、「なんの機能もない」とするのが一般的です。わきの下、肛門の周囲、まぶた、耳の穴、乳首などにあります。ワキガばかりが問題になるのは、わきに比較的多く残っているためです。

アポクリン腺から出る汗は、粘り気があり、乳白色をしています。ワキガと呼ぶのはアポクリン腺からでる汗が問題になっている場合だけです。

体臭の場合、意味はあいまいで、このワキガを指していることも珍しくありません。しかし、しっかりと区別するならば、体から出る嫌な臭い一般を体臭と呼ぶと考えていいでしょう。ワキガは含みません。もちろん、わきの下から出る悪臭も例外ではありません。わきの下から臭うからといって、全部が全部ワキガとは限らないのです。

ワキガの症状

アポクリン腺から出た汗だからといって、すぐに臭い始めるわけではありません。エクリン腺の汗と同じく、雑菌がわき成分が分解され、その分解されたものが臭いを出します。

エクリン腺からの汗は99パーセントかそれ以上が水分で、残りもほとんどが塩分です。雑菌のエサとなるものが少ないのです。

一方、アポクリン腺から出る汗には、たんぱく質や脂質を多く含んでいます。雑菌はこれらをえさとして繁殖し、その活動によって分解された物質が強烈な臭いを出すわけです。

ただし、「どのくらい臭ったらワキガか」といった定義はあいまいです。とりあえずは、「わきの下から強烈な臭いが出ていることを本人が自覚している。それで悩んでいる」といったところでしょう。

始まるのは思春期あたり

ワキガが始まるのは、思春期ごろからのことが多いです。「子どもから大人に変わる段階で、自分の体臭も気になり始める」という面もあるでしょう。しかし、実際に臭いが始まるのもこの時期です。アポクリン腺の発達が成熟するのもこの時期だからです。

また、中年以降はアポクリン腺は働きが弱まります。ワキガももちろんそれに連れて弱くなると考えていいでしょう。ただし、今度は加齢臭などが強まってくるので、悪臭全体では大差がないか、以前よりもひどくなるのが一般的です。

原因

ワキガは、アポクリン腺からの汗の分泌量が人よりも多いことが直接的な原因です。

日本人では約1割

では、「アポクリン腺からの汗の分泌が多くなる理由は?」となると、それは体質です。生まれ持ったものというしかありません。これは遺伝子で決まります。もし、両親のうちの片方がワキガ(アポクリン腺からの汗の分泌量が多い体質)ならば、子どももそうなる率は50パーセントです。両方共ならば、80パーセントの割合です。

また、この遺伝子を持つ率は人種ごとに異なります。その人種の発展した土地が暑いところほど多くなるようで、黒人は100パーセント、白人は50パーセントほどとされます。欧米で香水や消臭剤が発達した理由として、「ワキガなどの体臭への対策が必要だったから」というのもよく語られる話です。

東アジアの人には少なく、5-20パーセントでしかありません。日本人ならば10パーセント前後と見ておけばいいでしょう。このように率が低い分、ワキガによる臭いを振りまいている人に対する風当たりはつよくなると考えると、あまり喜んでばかりもいられない数字です。

症状から判断するワキガの可能性

すでにお話ししているように、ワキガになるかどうかはアポクリン腺のコンディション次第で、それは遺伝子によって決まります。

このアポクリン腺のコンディションと連動している遺伝的要素もいくつかあります。もし、自分がワキガかどうか判断がつきにくければ、これらの遺伝的要素があるかどうかで、ワキガであるかどうかの判断の材料にできます。「親や親戚にワキガの人がいる」もそのひとつです。ほかには次のようなものがあります。

耳垢が湿っている

この湿気の正体はアポクリン腺からの分泌物によることが大半です。また、これはワキガがまだ発症していない子どもでも見られます。そのため、将来のワキガの発生の可能性を予想する材料にもなります。

毛深い

アポクリン腺の発達と毛根の発達には相関関係があります。わき毛が濃かったり密集していたりする人はそれだけ、ワキガの率が高いと考えていいでしょう。また、肛門の周囲のムダ毛が濃かったり、耳の穴付近や乳首にムダ毛が生えていたりする人も同様です。ただし、以上は女性の場合の話です。男性の場合はむしろムダ毛が薄い人にワキガの率が高いのがわかっています。

服のわきの部分が黄ばみやすい

この部分に色がついてします原因はほかにもあるので、これだけでワキガ体質を判断することはできません。しかし、アポクリン腺からの汗は成分が濃いのでシミになって色がついてしまいがちなのは間違いありません。

すぐできるワキガ対策

ワキガ体質は遺伝によって決まっているので、日常生活の中でできることは限られています。汗は出しても濃いものにしない・出てしまった汗は早くなくす、といったところがすぐにできる対策です。

食事は洋食よりも和食

肉類などカロリーが高く、脂肪の量が多い食材はワキガの臭いをいっそう悪化させると考えられています。逆に穀物・野菜・魚などは逆です。低カロリー&低脂肪なだけではなく、ビタミン・ポリフェノール・カロテンなどにワキガ体質を弱める成分が大量に含まれています。これらは日本人が古くから親しんできた食材です。つまり、食生活を洋食から和食に切り替えればにおいは軽減します。

清潔を保つ

出てすぐの汗が臭うわけではありません。その汗の成分をえさに細菌が繁殖し、その活動で分解されてからです。なので、すぐに洗い流すなどして取り除けばいいのです。また、脱毛などでわき毛をなくしてしまうのも有効です。汗や細菌がたまる場所をなくすことになります。

ワキガを治すにはどうすればいい?

ワキガが軽症や中程度の場合はあまり汗を出さない・臭いがひどくならないといった方法を取ります。本格的な手術にはならないのがメリットなものの、抜本的な解決方法にはなりません。

重症の場合は、手術してアポクリン腺を取り除くことになります。手術にはいくつかの種類があります。ただし、完全に取り除けずに再発することもないとは言い切れません。信頼できる病院や医師を選ぶ必要があります。

軽症の場合

ワキガが軽い場合は、エクリン腺から出た汗による体臭対策などと同じです。体質自体は変わらないものの、以下の方法で臭いを軽くすることができます。

まずは清潔を保ちます。シャワーや入浴の回数を増やし、わきの下は特にしっかりと洗います。ただし、洗い方には要注意です。洗浄力の強すぎるせっけんを使ったり、ゴシゴシこするようでは、逆に肌のコンディションを落とし、皮脂などの分泌量が増えます。

制汗剤(制汗クリーム)も有効です。血管を収縮させる効果があるので、アポクリン腺からの汗も出にくくなります。特にワキガ用に作られている商品ならば、消臭や殺菌の効果も持たせてあるので、いっそうしっかりとワキガを抑えてくれるでしょう。ただし、お肌への負担は大きめで、肌荒れや黒ずみなどの副作用も見られます。また、体質に合う合わないもあります。

食事も体臭につながるようなものはやめたほうがいいでしょう。具体的にはにんにくやネギなどです。また、乳製品や肉類は皮脂の分泌量を増やしたり、アポクリン腺からの汗の濃度を濃くします。先に紹介したように、洋食よりは和食がおすすめです。

中程度の場合

肌にメスを入れるのを避けたい人には、レーザー光線や超音波振動を肌の外から与え、アポクリン腺を破壊する方法があります。ただし、完全に破壊しきれるとは限らず、臭いが半減する程度と考えておいたほうがいいでしょう。

レーザー光線を使う場合は、毛根を光のエネルギーで発熱させ、毛母細胞を破壊する医療レーザー脱毛とやることはほぼ同じです。逆にいえば、医療レーザーで腋毛(脇毛)を脱毛すればある程度はワキガ対策にもなると考えていいでしょう。

そうなるのは、毛根もアポクリン腺も毛穴の奥にあって、互いに隣り合っているからです。毛根の発熱で毛母細胞だけではなくアポクリン腺もダメージを受けるのです。

また、しわ治療の一種としておなじみのボトックス注射もアポクリン腺の活動を抑える効果があります。ボトックスは食中毒の原因菌として知られるボツリヌス菌から抽出した成分で、筋肉に注射すると毒性はないものの、筋肉の活動を止めます。これがエクリン腺にも同様の効果があるのです。

ただし、シワ治療の場合と同じく、効果の持続期間は半年から1年程度です。

重症の場合

最も確実なワキガ対策は手術してアポクリン腺を取り除くことです。これだけでもいくつかの方法があります。また、美容外科などが次々と独自の方法を開発し、手術の方法が多いのはほかの治療にはみらえない特徴です。

最も多いのは、カニューレ(管)などの装置を皮膚に入れ、アポクリン腺を吸引する方法です。この場合、カニューレなどに超音波振動の機能を加え、皮下組織を軟らかくしてアポクリン腺の吸引率を上げるような工夫もよくされています。名前としては、「ベイザーシェービング法」「超音波吸引法」「PMR法」などが使われています。

管を通す分だけしか皮膚を切らないので、傷口が小さくなるのがメリットです。回復までの期間もそれだけ短くなります。ただし、アポクリン腺を完全には取り切れず、数カ月から数年でアポクリン腺が再生する可能性を残しています。

これに対し、皮膚を切り開いてアポクリン腺を取り除く方法もあります。これにもいくつかの方法と名称があるものの、最も古くから行われていたのが「切除法」です。わきの下の部分の皮膚をまるごと切り開き、アポクリン腺のみならず、エクリン腺・皮脂腺まで取り除きます。

傷口が大きい割分、体への負担も大きいです。にもかかわらず、意外にアポクリン腺の取り残しが多いです。今では採用している病院はほとんどありません。

これを改良したのが、「剪除法(せんじょほう)」や「皮弁法(ひべんほう)」と呼ばれるやり方です。5センチ程度までの切り込みを1-3カ所開け、皮膚をひっくり返して裏側にあるアポクリン腺を取り除きます。

アポクリン腺を完全に取り除くことができ、その上、切開法ほどには体への負担はありません。また、ワキガ治療の中で唯一この剪除法(皮弁法)だけが健康保険が効きます。

ただし、医師には高度なスキルが必要です。病院と医師をしっかりと選ばなければいけません。

ワキガ チェック

これまでに申し上げたように、わきの下から嫌な臭がするからといって、必ずしもワキガではありません。「エクリン腺から出る汗ではなく、アポクリン腺から出る汗が分解されて出る臭い」がワキガの正体です。ほかの場合とは区別する必要があります。

とはいえ、見た目でわかるものではありません。とりあえずの自分自身での判断をするには、臭いの種類が材料になります。よく使われるワキガによる臭いの表現としては、次のようなものがあります。

・玉ねぎのように鼻にツンとくるいやな臭い
・鉛筆の芯
・傷んだ納豆ような臭い
・ネギ

また、わきの下の皮膚を少し切り開いて、直接アポクリン腺を確認する方法もあります。手術といえば手術ですが、切るのは2、3ミリなのでそれほど大げさなものではありません。アポクリン腺自体はだれにでもあるので、その粘り気や色合いで判断します。

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ワキガの臭いの特徴、自分でわかる?

ワキガの臭いの特徴は、例としては挙げていけば切りがないぐらいです。ただし、どれも決定的といえるようなものはありません。また、中にはワキガでもひどい臭いがわきからするわけでもないのに、臭いがひどいと信じ精神的に参ってしまう自己臭恐怖症に陥っているような人もいます。これは医学上の表現ではありませんが、「臭っているかもしれない症候群」といった名前で呼ばれることがあります。

自分での判断には危険性もあることは覚えておきましょう。専門医に臭いをかいでもらうのが、やはり間違いないです。

まとめ

ワキガの治療の場合、診療科としては、皮膚科や形成外科、美容外科になります。もし、初診ならばこれらのうち皮膚科でいいでしょう。

あれこれ悩んでいるのならば、まずは皮膚科の診断を受け、対策を相談するのがおすすめです。どのような対策が最適かも、医師に相談するといいでしょう。